のらぼう菜
JA 全農さいたま 直販企画課
野菜ソムリエ
「のらぼう菜」とは?
アブラナ科の「菜の花」と呼ばれる野菜の一種です。実は菜の花はアブラナ科の黄色い花の総称で、その中でもいろいろな品種があります。在来種である「かき菜」とよく似ていますが、のらぼう菜の方が茎は太く、甘みが強く苦みが少ないので食べやすいのが特徴です。
のらぼう菜は、西洋アブラナ系の種が江戸時代に日本に伝わり、その後、東京都多摩地区~埼玉県比企郡の山間地帯を中心に広がりました。耐寒性があり生命力が強い植物で、天保の大飢饉の際に人々を飢餓から救ったとも伝えられています。
ちなみに、のらぼう菜という名前は「野良(野原)に、ぼーっと生えている」姿から名付けられたという説があります。
栽培について
埼玉県内の生産者は、9下旬頃に種をまき、10月下旬頃に苗を定植し、冬を越して3月中旬~4月上旬に収穫をします。収穫の際は葉や茎が傷まないように丁寧に手で折り取ります。生命力が強く一度収穫した後にも更に茎が伸びてきますが、収穫後の葉は萎れやすいため、鮮度の良いうちに出荷しなくてはいけません。
5月頃になると花が咲いた後に種が採れるのですが、埼玉県内の主力産地である比企郡では、自家採種のみで味をずっと守ってきたそうです。
家庭での調理ポイント
葉先までシャキッとしていて鮮度の良いうちに食べたいですが、すぐに調理できない場合は、新聞紙等に包んで冷蔵庫で保管しましょう。食べきれないときは、固めに茹でて冷凍保存しても良いでしょう。
くせが少なく食べやすいので、いろいろな調理方法によく合います。シンプルに胡麻和えやおひたしに、味噌汁の具にしても美味しくいただけます。太い茎と柔らかい葉の触感の違いも楽しんでみてください。他にも、油と相性が良いので炒め物の具にもおすすめです。豊富に含まれるビタミンCは水溶性なので調理中に減少しやすいのですが、油で炒めることによって減少を抑えることができます。食物繊維も豊富なので腸内環境の改善にも効果が期待できます。
旬の時期が比較的短い野菜なので、スーパー等で見かけた際には機会を逃さず、是非食べてみてください。
給食会報180号(令和2年1月)から