ホンモロコ

県農林部生産振興課

食品豆知識(ホンモロコ)

海のない埼玉県では昔からウナギやコイ、フナ、アユなどは重要なタンパク源でした。この名残でしょうか、県東部に広がる田園地帯では、水路で採れる小魚を「ざこ煮」といって醤油と酒、砂糖で煮付けて食べる習慣があります。今では、この身近な水路で小魚が捕れなくなってしまいました。
そこで、農林総合研究センター水産研究所では、小魚の需要に応えるためホンモロコの養殖技術の開発に取り組み、平成4年に全国に先駆けて水田を利用した養殖技術を開発しました。
ホンモロコは琵琶湖原産の12cmほどに成長する小魚で、コイ科の中ではもっとも美味しいといわれています。関西では高級魚として料亭などで珍重されています。
養殖は4月の採卵から始まります。卵は1週間ほどでふ化し、その後餌を与えながら育て、9月には6cmほどに成長します。
生産者は、井戸水のみを使い、高品質の餌を用い、医薬品は使わずに育てたホンモロコを「彩のもろこ」と名付け、ブランド化に向けて生産を拡大しています。現在、県東部を中心に50戸ほどの生産者が約20トン生産しています。
育てた魚は、大部分が生産者の庭先で販売されます。旬は10月から翌年の2月までで、料理では「ざこ煮」のほか、天ぷら、素焼きなどがポピュラーです。
春日部市の庄和では学校給食にも出され、子どもたちから美味しいという声や、小魚を初めて食べたという声など様々な反響が得られました。
また、ホンモロコはシシャモの約3倍のカルシウムを持つ健康食品で、骨も柔らかく丸ごと食べられます。
「彩のもろこ」ののぼり旗を掲げた養殖池を見かけましたら、訪ねていただき、埼玉の新しい味ホンモロコを家庭でも御賞味ください。

給食会報145号(平成20年4月)から

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