納豆
日東食品株式会社 代表取締役 長谷川 健太郎
現在では「納豆」といえば主に糸引き納豆のことを指しますが大きくは寺納豆、甘納豆、糸引き納豆の三つに分けられます。
寺納豆は、麹菌で発酵させたもので、甘納豆は「栄太楼」が開発した和菓子です。ここでは一般的な「納豆」である「糸引き納豆」のことについて述べます。
「納豆」の起源については、中国大陸から稲の栽培方法が伝来する縄文時代後期に納豆のようなものがあったとする説や、弥生時代に自然に発生した、源義家が奥州征伐の際に発見した等、様々な説があり、実のところはっきりしたことは、わかっていません。「納豆」の文字が歴史上最初にでてくる文献は、平安時代中期に藤原明衡が書いた「新猿楽記」ですが、これも「寺納豆」か「糸引き納豆」のことか専門家の間でも解釈が異なります。
また、名前の由来については、「寺の納所(なっしょ)で作られたから」という説と「藁つとに豆を納めるから」という説があり、納所の説が有力と見られています。
「納豆」といえば、「水戸納豆」という言葉に代表されるように、茨城県が本場だと考える人が多くいます。これは、明治時代に鉄道が敷設され、水戸駅前の広場で販売されていたものが、お土産として駅のホームで販売されるようになり、非常に人気が出たことから「水戸が本場」だと思われるようになりました。現在でも、茨城県に最も多くの納豆製造業者が存在しています。
三年程前にテレビで取り上げられたダイエット効果は、納豆にはありませんが、悪玉酵素をやっつける、骨粗鬆症を防ぐ、血糖値を下げるといった優れた効果があります。「納豆」を正しく知ることによって健康を保っていただきたいと思います。
埼玉県産大豆で作った「彩の国なっとう」は、日本の食料自給率を上げようとする「ニッポンの食、がんばれ!」キャンペーンの推奨製品に選ばれました。健康に役立つ「納豆」をぜひご賞味ください。
給食会報152号(平成22年9月)から