いちじく
全農埼玉県本部園芸部園芸販売課 課長 水村 洋一
クワ科のいちじくはアラビア半島あたりが原産で、新石器時代の遺跡から炭化した実が出土するなど世界最古の栽培果樹とも言われています。
旧約聖書にはアダムとイブが裸を隠すためにいちじくの葉を使ったと記されています。
日本には中国経由で江戸時代に入ってきました。昔は家の庭先などに植えてあり、食用として親しまれていました。
春先から初秋にかけて実の中に白い花をつけ、そのまま肥大するのですが、花が見えないので「無花果」と言う漢語が当てられました。
一方、「いちじく」の由来は毎日一つずつ実が熟すため「一熟」⇒「いちじく」という説があります。
主な効用は食物繊維のペクチンが豊富なので整腸作用や美肌効果があると言われています。また「フィシン」というたんぱく質分解酵素を含むので食後のデザートにはもってこいの一品ではないでしょうか。
いちじくの選び方はふっくらとして果皮に張りがあるものが良いでしょう。へたの切り口に白い液がついているのは新鮮な証拠。保存方法は日持ちがしないためなるべく早く食べるほうが良いですが、乾燥を防ぐためポリ袋等に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。食べきれない場合はコンポートやジャムにする方法もあります。世界的には乾燥いちじくの利用も多く見られるようです。
国内の産地は愛知・和歌山・福岡など、出荷時期は8月から10月がシーズンになります。販売されている品種は「枡井ドーフィン」と呼ばれる品種が約8割です。
埼玉県では20年位前から産地化が始まり、現在、加須市と川島町を中心に90トン以上が市場に出荷されたり(店舗販売向け)、和菓子、ジャム等への加工原料として出荷されています。
県産の新鮮ないちじくで、独特の食感と甘さを楽しんでみませんか。
給食会報154号(平成23年4月)から